【HEADPHONE TALK】AH-D7200を手に入れたことで、ゆっくりと音楽を聴きたい気持ちになります / 白井アキト
これまでにLiSAや西野カナ、家入レオなどの多くのアーティストとのサポートや数多くのプロジェクトの参加で、注目を集めるキーボディスト、白井アキト。今回はステージやレコーディングの現場で彼を支えるイヤモニについて、そして、これまであまり体験してこなかったリスニング用のヘッドフォンDENON AH-D7200を通して感じたことについて語っていただいた。
カスタムIEMで演奏に集中できるようになった
--ヘッドフォン、イヤフォンを意識し始めたのは
白井:ステージでイヤモニを使ってみたいと思ったのが最初ですね。いろいろ試してみてSHUREのSE-535ltdを手に入れました。2年くらいは使っていましたが、(イヤモニの)導入のきっかけにはいいイヤフォンだけど、自分の中で期待しているほどではありませんでした。それは音的な問題よりも僕は右耳の方が少し小さめなので(SHUREに限らず市販のものだと)本番中に外れてしまうことが多く、大きなステージでは不安材料になってしまって。そこで3年くらい前にFitEarでカスタムIEMを作りました。これは今もメインで使っています。
▲イヤモニとして使い始めたSHURE SE-535ltd
--カスタムIEMにしたときに何が違いました?
白井:やはり密閉度が高いので聴こえ方が全然違いますね。遮音もされるし、何よりも自分の耳の形に合わせて作っているので、ステージで外れてしまう心配がないことです。以前はライブで外れそうになったりして、本番中に何度も触ってしまうことが多くて。鍵盤は右手が重要なので、右耳から外れてしまうのは演奏に支障が出てしまうので致命的です。カスタムIEMにしてからはイヤモニを直す仕草が減ったので、見栄えもそうですが、より演奏に集中できるようになりました。
▲現在のメインであるFitEarのカスタムIEM
--白井さんにとってカスタムIEMは頼れる仕事道具という感じですね。
白井:そうです。最近はクリックとシーケンスで楽曲を制御することが多いので、大きな現場だと確実なモニタリングができないと命取りです。もちろん大小に関わらず、声素材やSEなど楽器では絶対再現出来ない音が必要だったりすると、鍵盤とドラムはクリックを聴かないといけなくなるので。
シングル・ドライバーは余計な情報がない分、プレイし易い面もある
--SE-535やFitEarはどういう基準で手に入れられたのでしょうか?
白井:モニターとして使いたかったので、フラットな音質であることを意識して選びました。特定の帯域が出過ぎているものは、まず選ばないです。強いて言えば鍵盤的には中高域あたりがよく聴こえるとプレイし易いです。FitEarに関しては耐久性や取り回しを考えてケーブルをオヤイデ製のものにリケーブルしています。換えたことで音場が広くなった印象もあるし、タッチノイズもなくなりました。
この間、LiSAさんのイベントがさいたまスーパーアリーナで2日間あったのですが、実は初日にメインのFitEarを忘れてしまって…、これは終わったと思いました(汗)でもサブ機のER-4(ETYMOTIC RESEARCH)は持ってきていたので、不安はありましたがそれを使いました。FitEarは3wayドライバーでER-4はシングル・ドライバーと違いはあるのですが、シングル・ドライバーの素直でストレートな音色と余計な情報がない分、かえって演奏し易かったです。3wayドライバーだと聴こえ過ぎてしまうというか、いろいろな情報が入り過ぎてしまって、ときに集中できないこともあります。逆にリハーサルでは“どの楽器が何をしているか”や、“シーケンスがどうだったか”をチェックしながら、自分のやることを詰めていきます。そこでは、しっかりと情報が必要なのでドライバーが10個くらいあるイヤモニでもいいくらいです(笑)。
ETYMOTIC RESEARCH ER-4をデジマートで探す
--プライベートのリスニングはどんな環境で?
白井:普段はSHUREのSE-215seを使って楽しんでします。ミックスのチェックなどで送られてきた音源は一般的な試聴環境で、ということでiPhoneの付属のイヤフォンで聴いたりもしています。新幹線で移動の時はbluetoothのイヤフォンが楽ですね。昔は、2,000円くらいの安価なものを断線したら買う、忘れたら買うみたいにしていました。ですが、SHUREのSE-535ltdを手に入れたことで、イヤフォンの音を意識するようになりました。やっぱり、2,000円のイヤフォンとは聴こえる世界が全然違いますからね。僕は結構イヤフォンを酷使して聴くので、ドライバーがすぐヘタってしまうし、あまり高額でなくてもバランスよく聴けるものがいいです。
--ヘッドフォンは使わないのでしょうか?
白井:自宅での作業用にソニーのMDR-CD900STを使っています。実はそんなに好みではなかったけど、どのスタジオにもあるので基準として持っておこうと。でも新品を使ってみると凄くよかった。スタジオのものは使われ過ぎてヘッドバンドが広がっているものが多くて状態がよくなかっただけで、ヘッドバンドの部分がしっかりしていればMDR-CD900STはとてもいい音ですよ。
AH-D7200はR&B独特のスーパーローが心地よい、現代的な方向性の音作り
--普段はイヤフォンで音楽を聴くことが多い白井さんですが、今回、DENONのAH-D7200を使ってみていかがでしたか?
白井:目から鱗でしたね。仕事で使っているモニター用のものとは全然違いました。いいですね。音を楽しむ為だけにあるというか、そういった純粋さを感じます。
-- AH-D7200ではどんな音楽をお聴きになりましたか?
白井:ジャスティン・ビーバーやアリアナ・グランデ、ブルーノマーズなどでチェックしました。やはりAH-D7200はリスニングに合うなって。ギターロックというよりはR&Bや、ローがずっとあるような音楽に向いているヘッドフォンだと思いました。中高域はフラットなのですが、低域がいい意味で膨らんでいる印象があってR&B独特のスーパーローが心地よいです。現代的な方向性の音作りだと思うし、普段、よく聴いているポーター・ロビンソンやZEDDなどのEDMにも合いそうです。 ジャズも凄く良くて、特にウッドベースが木の鳴りまで聴こえて最高です。
あと定位が素晴らしいですね。これまで左右で鳴っているなと思って、ざっくり聴いていた音楽が、サラウンドっぽく聴こえてくるというか、定位感がすごくよくわかる。これはイヤフォンでは体験できなくて、上質なヘッドフォンならではだと思いますね。音楽じゃないけどAH-D7200でSFやアクション映画を観たら、きっと楽しいだろうなと。装着感もいいし、ケーブルも取り回し易いです。
このヘッドフォンにどんな音楽合うか、時間をかけて試してみたい
実はリスニング用のヘッドフォンってこれまで手にしたことがなくて、AH-D7200でこういう世界に触れられたのは、よい経験でした。もっと、いろいろな音楽を聴いて、このヘッドフォンにどれが合うか、時間をかけて試してみたくなりました。仕事で使っているイヤフォンでは、そういう感覚にはなれませんでしたが、AH-D7200を手に入れたことで、ゆっくりと音楽を聴きたい気持ちになりますね。
DENON AH-D7200
「LITTLE TMAS」 ファースト・ミニアルバム
「僕の気持ち SPECIAL EDITION」
7月21日発売
1,500(税別)
M-1僕の気持ち
M-2僕の気持ち(Cafe Lounge Ver.)
M-3僕の気持ち(My Honest Feeling Ver.)
M-4僕の気持ち(EDM REMIX Ver.)
M-5僕の気持ち(Piano Ver.)
参加ライブ情報
8/18(金) :目黒Blues Arrey Japan
ザ・花金SESSION
START 19:30
前売・当日共通 テーブル席(指定)¥4,000
(B)バカボン鈴木 (G)梶原順 (Ds)藤井摂 (Vo)Minako“mooki”Obata (Key)白井アキト
8/20(土) :Cotton Club Japan
小比類巻かほる - Carpe Diem - KAHORU KOHIRUIMAKI
[1st.show] OPEN 16:00 / START 17:00
[2nd.show] OPEN 18:30 / START 20:00
8/21(月) :仙台LIVE HOUSE enn 3rd
『山崎ふみこカルテット+1』~サードアルバム【Goforit !!!】発売記念ライブin仙台~山崎ふみこ
OPEN 19:00 / START 19:30
前売¥4000(drink代¥500別)
10/4(水):名古屋ブルーノート
鳥獣戯楽 旗揚公演 ~エキセントリック フュージョン バンド 参上~
鳥獣戯楽(Choujuugiga)
村田隆行(b)川口千里(ds) 寺地美穂(a.sax) 村田千紘(tp)白井アキト(key)
白井アキト オフィシャルTwitter https://twitter.com/akito_shirai
0コメント